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第1回 「先生からのメッセージ」

 どんな幼稚園を選んでお子さんを入園させたいと思いますか?というアンケートに「園服がかわいい、遊具、玩具がたくさんある、躾をきちんとしてくれる、発表会等が立派で整然としている、保育時間が長い、文字や数を教えてくれる…」などが上位を占めていました。

 ちなみに、小・中学生の保護者の方達の、我が子への願いというと「自分から勉強する子ども、いじめっ子や、いじめられっ子になってもらいたくない、ましてや登校拒否には、絶対なってもらいたくない、思いやりのある人間、嫌なことは“NO”と言える子どもになって欲しい」ということが、最も一致した大きな希望のようでした。

 この両者の親の希望を聞きながら感じたことは、幼稚園時代は、夢の花園の中に入れ、 かわいくて、きれいで、やさしい先生で、行事は華やかで、早く字が書けるように…という、その場だけ親が満足すればよいという希望です。その子どもの将来に責任を感じたら、こんな幼児期でよいのでしょうか。

 クリントン米国大統領の演説の一部に「小学生に銃を持たせないで下さい。十六歳の 少女に妊娠させないで下さい。高校生に麻薬を与えないで…」というものがあるのを読みました。神戸の少年の事件も、私たちの身近に聞く、家庭内暴力や登校拒否…など。突然おこるものではありません。その子どもの生育歴と深くかかわっています。 我が子さえよく育てれば、と思っても、環境の中で強い精神力で乗り越えることは至難です。子どもの将来に責任ある子育てを考えてみた時、にぎにぎしい発表会や園服がかわいい…などだけで過ごさせては、取り返しのつかぬことにならないでしょうか。

 満六歳、卒園までに育てておきたいものは、自主性、意欲、思いやり、この三つと思います。これらが育つためには、生後三~四年間ぐらいは“甘え”が必要です。(物を与えたり、子どもが求めてもいないのに要求の先取りをするのは甘やかしです。)そして、十分満足して幼稚園という集団に入ることが理想です。
 集団生活の中では、様々な葛藤、自分の思うようにならない体験の毎日となります。親とすると、子どもに失敗して欲しくない、困って欲しくない、スムーズに、ストレートに、嫌な思いもせず歩いて行って欲しい。前に邪魔なものがあれば、あるいは、つまずきそうな石があればどけてしまいたいと考えがちです。しかし、それでは大切な三つは育ちません。そこで出会わせたい体験は“失敗すること”であり、それを乗り越えて達成感をもち、その過程の中でやさしさを受けたり、友情にささえたりして、思いやりが育っていきます。様々なトラブルの中で、“NO”といわなければならない体験にも、度々出会います。

 幼児期は夢の花園ではありません。子どもの一生を築く基盤をつくる時です。どのようなことに配慮したら、その後の小、中、高…そして大人になっても充実した日々となるかを、これから考えて参りましょう。

本吉園子先生からのメッセージ(全7回)