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子育て相談

第7回 「おねしょ」

 おねしょをする子どもは、感受性の豊かな優しい子どもです。そして、自分を押さえ我慢をします。欲求を親に訴えられないのです。妹や弟がいるのも共通点として多いようですし、甘えが足りていません。

 おねしょの相談に来られた、Y子のお母様に「もっともっとY子ちゃんを可愛がってあげて下さい」と話したところ、「あのう、お言葉を返すようですが、私も夫もY子の祖父母も、家族全員とてもY子を可愛がっております。皆、子ども好きですが…」「それでも愛情が足りないんです。自己発揮が出来ていません。もっともっとスキンシップで可愛がって下さい。今の何倍も抱きしめてあげて下さい。」
 Y子のお母様は、不満のようでした。家族も「そんな講師の話は聞くな。うちで愛情が足りないなら世界中の子どもが愛情が足りない」と言ったようです。それでもY子のお母様は、今日だけでもやってみようと思い、抱きしめて可愛がりました。言われた通りやったことは、朝起きた時から抱きしめ、着替えをしてあげ、抱っこして洗面所へ、もう六歳ですが、抱いて食べさせてあげ、顔をふいてあげて、幼稚園にもおんぶで行きました。帰ってからも、ぎゅーっと抱きしめ、お風呂も一緒に二人だけ(いつもは妹も一緒)で入り、髪も抱いて洗ってあげたのです。すると、いつもは頼んでも、「重い」とか「出来ない」、と言ってやらないお風呂の蓋を鼻歌を歌いながらしているのです。そしてお風呂から出ると絵本を持ってお父様のところに行って「本読んで」と頼みました。

 子ども大好きのお父様は、読んでいた新聞をおいてY子をあぐらの中に入れて絵本を読み聞かせました。そこに三歳の妹M子が自分も絵本を持って「読んで」と来て、ひざの中にするりと乗ろうとし、やさしいY子もいつものように、ひざから降りて妹にゆずろうとしたのです。お父様も当然のようにM子を抱こうとしたのです。
 その時「これだ!!」とはっと気付いたお父様は「M子ちゃんは待ちなさい。今はお姉ちゃん…」と話したのです。M子はワァーッと泣き、Y子は思いがけない事の成り行きに驚き、妹が生まれて、初めて父親を独占。言葉では言えないような喜びだったのです。
 この晩から、おねしょもぴたりととまり、グズグズした行動も嘘のように、生き生きとし始めたのです。原因が甘えの不足、自分を出せない、我慢してしまう…というようなことを、親が気付かずにいると小学生になっても続きます。

 お医者様の立場から「ホルモンのバランスが悪い」と診断されたお母様も、半信半疑ながら、下の子を放ってお兄ちゃんを抱きしめて甘えさせた結果、その晩からピタリとおねしょがとまり、講演会の翌朝わざわざ報せに来て下さいました。十歳まで毎晩、多い時は一晩に三回もおねしょをしていたのです。
 下の子どもに気兼ねや遠慮をしたり、お母さんの気持ちの中に「もう…こんなに大きくなって…」とか「こんなに添い寝もしてあげているのにどうして!」というような気配があると子どもは敏感に察知します。それよりも、「今まで一生懸命育てて可愛がってきたつもりだったけれど、我慢させてしまったのね。いいお兄ちゃん、させていた。ごめんなさいね。お母さんいっぱいいっぱい抱いてあげる!」と率直にお子さんに気付かなかったことを伝えて下さる方がよいと思います。
 弟や妹ができて自分を主張することをあきらめ、精一杯よい子を続けている子どもにとってお母さんの方から「さあいらっしゃい、お母さん抱きしめてあげたいの、甘えてもらいたいの」と手をさしのべてられることは、特効薬になります。

 おねしょ、爪かみ、チック症、指しゃぶり、行動がのろい、気分転換がしにくい、他人の邪魔をする・・、子どもの“さびしい、さびしい、お母さんこっち向いて”のシグナルを受け止め、しっかり抱きしめて下さい。

本吉園子先生からのメッセージ(全7回)